
習字の筆って洗っても洗っても墨が残っていて、絞ったときに濁った水が出てくるんですよね。充分に洗ったつもりでも、使っているうちに根本が固くなってきて、すぐに買い替えなければならなくなってしまいます。
使い慣れた1本はやっぱり使いやすいですし、ていねいに洗って、できるだけ長く使いたい!シャンプーやリンスを使うと良いって話も聞きますが、毛がパサパサになったり傷んでしまったりしないか、心配が残るところです。
このページでは、書道の筆を正しく洗って長く使うには、どうやってお手入れしたらいいのかをまとめてみました。
目次
書道の筆はシャンプー・リンスで洗うと良い?の真相とは?
書道筆は、馬やヤギやイタチなどの動物性の毛で作られています。それならシャンプーとリンスやコンディショナーで泡立てて洗ったほうが、余計な油が落ちてきれいになりそうな感じがしますよね。
ネットで検索してみると、シャンプーで洗ってリンスするときれいになります!という意見もたびたび見かけます。
実際にシャンプーで洗って見る前に知っておきたいのが、動物性の毛には、ある程度の脂分が含まれている、ということ。この脂分の量が書道を行うときには重要で、あまり多いとうまく墨を含みませんが、足りないと掠れやすくなってしまいます。
シャンプーで筆を洗うと、必要な脂分まで洗い落としてしまいます。
その後でリンスやコンディショナーをすることで、抜けた脂分を補うことはできますが、リンスに含まれている脂分はもともと筆に含まれている脂分とは違うもの。毛先が妙にサラサラになり、書き心地、作品の仕上がりに影響を及ぼします。
書道の筆を洗うのにシャンプー・リンスは使わないほうが良いの?
ではシャンプーやリンスは使わないほうが良いのか、というと、これは意見が別れるところで、筆にシャンプー(リンス)するなんて信じられない!絶対に止めるべき!という人もいますが、私は場合によってはシャンプーで洗ってリンスをしてあげたほうが長持ちすると思っています。
購入したての新しい筆は、シャンプーを使う必要があるほど墨が残っていないので、おろしたての筆にシャンプーをしてしまうのは勿体無いです。
しかし、長く使っていると、どうしても洗いきれなかった墨が残って根本から固まってしまうので、使いにくくなってきたな、と感じたら、薄めたシャンプーで洗ってサッとリンスしてあげると使いやすくなります。 シャンプー+リンスをするデメリットはないの?
ただ、リンスをすると筆を使うことで蓄えてきたコシを洗い流してしまいます。
リンスしてコシがなくなった筆を使いやすく感じるかどうかは個人差がありますので、リンスした筆で書く作品の掠れが好みの人もいれば、気にいらない人もいるわけで、リンスした筆は使えたもんじゃない、と思うかもしれません。
使い慣れた筆を洗う前に、あまり高価ではない筆で、リンスした筆の書き心地を試してみることをおすすめします。
書道筆専用のシャンプーもあります
とくに根本に溜まってしまう墨を洗い落とすことに特化しているこちらのシャンプー、書き心地がパサパサにならずに、墨をきれいに手早く洗い流してくれます。
墨をきれいに洗い流そうと思うと、けっこう時間がかかってしまうので、ちょっと練習するたびに洗うの面倒くさいなー!今日はやめておこう!となることが多かったのですが、このシャンプーを使うと手早く洗うことができるので、書道をやるのが昔ほど億劫ではなくなりました。
割れはじめて捨てようか悩んでいる筆も復活しました♪という声も多く、使い慣れた筆をまだ使いたい!とお考えの方にぜひ試してほしい商品です♪
書道の筆の正しい洗い方は?

書道筆に使われている動物性の毛には、人間の髪のようにキューティクル?のようなものがあります。自分の髪を洗うときに、毛の流れに逆らって洗うと傷んでしまうのと同じく、根本から毛先に向かって洗うと余計なダメージを与えてしまうので気を付けましょう。
間違っても根本をきれいにするために、筆を逆さに持って、毛先の方から根本に勢い良く水を当てたりしないようにしてくださいね!
また、毛束は糊で根本を固めてあるだけなので、根本をガシガシ力任せに洗うと抜け毛の原因になり、筆を痛めてしまいます。
墨を完全に洗い落とすことはほとんど不可能。洗っているときに水に墨が混じらなくなるくらい綺麗になれば充分きれいになっています。絞ったときに少量の墨が混じるのは、仕方ないことなんです。
書道筆の普段洗いの手順
- お湯ではなく水を使い、水を流した蛇口の下で根本を上にしてもち、根本から毛先に向けて絞るようにして洗います。
- 水に墨が混じらなくなったら根本から毛先に向けて絞り、半紙や新聞紙に水を吸わせて水を切ります。
- 日の当たらない場所に毛先が下になるように吊るして完全に乾燥させてからしまいましょう。
書きにくくなってきた時の集中洗浄の手順
- ぬるま湯に筆を30分~1時間ほど付け置き、根本の固まってしまった墨を溶かします。
- 薄めたシャンプーで根本から毛先に向けて絞るように水で洗います。
- シャンプーを洗い流し、毛先を潰すようにしながら根本から毛先に向けてリンス、もしくはコンディショナーを馴染ませんます。
- つけ置きせずに洗い流します。
- 普段通りの方法で水を切り、乾燥させます。
書道筆の乾かし方
濡れたままの筆を道具のなかに片付けてしまうと、水分が残っていて傷んでしまったり、カビが生えってしまったりします。
せっかくきれいに洗ったのに、そんなことになってしまったら本末転倒!書道筆を洗い終わったら、指で軽く形を整え、日光の当たらない日陰に、筆先を下に吊るして完全に乾かしましょう。
風通しの良い日の当たらない場所なら、野外でも室内でも大丈夫です♪ ときどき2度洗いをしましょう 。
筆が乾いてくると、洗ったときに落ちきらずに、根本に残っていた墨が毛先の方に流れてきます。きれいに洗った筆を乾かしたあとで、もう一度洗うことで、洗いきれなかった墨もすっきりと洗うことができるので、ちょっと手間ではありますが、しばらく使う予定のないときなどに時々、2度洗いをすることで、毛先が割れてしまうのを防ぐことができます。
乾いた筆の保管方法
筆をしまうときに避けたいのが、直射日光の当たる場所と、水気や湿気の多い場所。これらの場所は、筆が傷んだり、カビが生える原因になってしまいます。
長期間使わない場合におすすめなのは、筆を保管するのにちょうどいい状態を保ってくれる桐箱に入れ、湿気のない日陰で保管することですが、ない場合には、風通しや虫食いに気を付けた場所に片付けておきましょう。
筆が傷んでしまったときの対処法
洗い方が充分でなかったり、ていねいに洗っていても長く使っていると、だんだんと書き心地が悪くなってしまいます。
書道筆は消耗品なので、どうしても一生使い続けることはできませんが、買い換える前にできることも。使い慣れた筆を諦める前に、できることを紹介します♪
筆先が割れるようになってしまったら?
筆の毛先が割れてしまう原因は、根本に墨が残っていて固まってしまっていることです。
あんまりひどく割れてしまっている場合には買い換える必要がありますが、場合によっては洗い方を見直したり、シャンプーとリンスで洗ってみたりすることで、復活する可能も充分にあります。
とくに根本を重点的に、親指と人差指で優しく揉むように洗ってみてください。
根本がゆるくなってバサバサになってしまったら?
何度もくり返し洗っているうちに、根本の糊がゆるくなってバサバサと広がってしまうようになってしまいます。
それでも書き心地に問題なければ良いのですが、ゆるくて気になるようでしたら、タコ糸などで根本をきつく結んで、ノリの代わりにすることができます。
巻き加減によって書き心地が変わってくるので、使いにくいようでしたら巻く量を調節してみてください♪
まとめ
使い慣れた筆は書きやすいので、なるべく長く使うために、使い終わったらなるべく早く洗ってしっかり乾かす、という、基本的なお手入れをしていきたいですね。
筆を洗うのが億劫だし、なかなか時間が避けなくて雑になってしまう、という人は、書道筆専用シャンプーを使ってみると、さくさく墨を落としてくれるのでぜひ試してみてください♪