明日、もしくは明後日、自宅にお客さんが来るのに合わせてユリの花を購入したいけど、お花屋さんに並んでいるユリはぜんぶ完全なつぼみ…。これは花が咲くまでに時間がかかってしまいそうだけど、早く咲かせるにはどうしたらいいの?
花屋で働いていると、そういう質問をまれに受けることがあります。先日、会社の企画した花屋の勉強会に参加したときに、より早くユリの花を咲かせる方法についても教わってきたので、復習でまとめてみたいと思います。
目次
ユリを早く咲かせるには?
花屋さんの仕入れ状況によっては、店先に並んでいるユリが完全につぼみなどころか、しばらく咲く気のなさそうな緑色をしている!なんてこともあると思います。
あんまり緑色で小さなつぼみを明日開花させようと思うと無理がありますが、できるだけすぐに咲かせるために、できることはいろいろあります。
暖かい場所に置いておく
ユリは夏場と冬場で、花の持ちが倍くらい違う花だと思っています。部屋の一番温かい場所に活けておくだけで、涼しい部屋に置いておくよりも、ずいぶん開花するタイミングが早くなります。夏場で、室内にはエアコンを効かせているようなら、直射日光の当たらない野外でも大丈夫です。
温度の高い場所を選ぶだけでかなり違いますが、切り花に負担がかからないようにスーパーの袋などで覆ってビニールハウスのようにして、周囲の温度をさらに高くするとさらに効果があります。
茎をなるべく短く切る
切り花は切り口から水を吸って成長するので、茎が短く、花までの長さが短いほうが、開花するのが早くなります。
花屋さんに並んでいるユリは、ほかの花に比べて背が高い=茎が長いことがよくありますが、これはお客さんが好きな長さに選べるように、という意味と、花が咲くのをなるべく遅くして、店での寿命を長くする意味もあります。
なのでユリを早く咲かせたい場合には、買ってきたらすぐに、活ける予定の花瓶に対していちばん短くできる長さまで茎を切ってしまいましょう。
茎を切るときには、切り口に45度くらいの角度をつけて切ると、茎が水に触れる面積が広くなりたくさんの水を吸い上げるので、さらに成長を促すことができます。
水ではなくぬるま湯に活けておく
花といえば冷たい水に活けるものだと考えがちですが、ユリを早く咲かせたい場合、ぬるま湯に入れてあげると開花速度が速まります。熱いお湯に入れると切り花は駄目になってしまうので、人肌くらいの温度のぬるま湯に調節してください。
ユリを長持ちさせる手入れ方法
これで早く咲かせるのにできることは全てやりました!さて待望の花が咲いて、同じ方法でお手入れをしていると、今度は花の寿命を縮めてしまい、あっという間に花が終わってしまいます。
長持ちさせたいときにできるのは、基本的に早く咲かせることの逆をやればいいわけなので、涼しい部屋で冷たい水に活けておくのは効果がありますが、ほかにもコツがあるので紹介します。
花が咲きしだい雄しべを取る
ユリの雄しべは、花粉になると花の寿命を遅らせてしまうし、花びらにつくと汚れたみたいになってしまうし、手や服や家具につくとたいへん落ちにくいという、やっかいな存在です。
なので、花の中に指を押し込むことができる程度にユリの花が開き始めたら、完全に咲くのを待たずにさっさと雄しべを取ってしまうのが最適です。早い段階で気がつければ、まだ粉っぽい花粉になるまえの状態できれいにつまみ出すことができます。
とり方は至って簡単で、雄しべの部分を軽くつまんで引っ張るだけで、するっと取り除くことができます。通常6本の雄しべがありますが、粉っぽくなる前でしたらぜんぶまとめて摘まみ取ると楽ちんです。
茎は何度も切りすぎない
切り花の手入れの方法を調べてみると、切り口を毎日ないし頻繁に切ると、新鮮な水を吸い上げるので長持ちする、と紹介されていることがありますが、新鮮な水を吸い上げると成長速度が早まるので、花が終わるのも早くなってしまいます。
切り口が乾燥していたり汚れていたりで、水が吸えないのでは困ってしまいますが、そう何度も切り直さないほうが花が持ちやすいので、5日くらい経ってまだまだ花が長持ちしそうな場合に切るくらいで十分です。
お手入れのコツを掴むと需要に合わせてユリを楽しむことができます
まだ緑色の硬いつぼみのついたユリを購入する場合には、咲かせたい日の1週間~5日前には買っておきたいですが、色の付き始めたユリなら翌日咲かせることもできます。
購入時の状態にもよりますが、基本的にユリはほかの花に比べて長持ちする切り花です。早く咲かせたい、なるべく長く楽しみたい、に合ったお世話の仕方を身につけて、必要なときにうまく咲かせることができるようになりたいですね。